電車内で周囲の視線が気になり、いてもたってもいられない方や自分の視線が迷惑をかけていないかと気になってしまう方も多いと思います。
そう言う僕も、かれこれ14年間視線恐怖症や自己視線恐怖症で悩まされている1人です。特に電車内では、閉ざされた空間ということもあり、僕も苦手な場面の1つ。
ここでは、視線恐怖症に悩む僕が、先日電車に乗ったときに実践した、視線恐怖症を和らげるための対処法をご紹介させていただきます。
この対処法を行ったら、必ず視線恐怖が気にならなくなるというものではありません。ただ、同じ視線恐怖症を持つ者として、少しでも参考になれば幸いです。
電車内では、なぜ視線が気になるのか?
視線恐怖症や自己視線恐怖症の人にとって、電車内で過ごすこと自体がつらいですし、恐怖でしかありません。なぜ電車内で周囲の視線が気になってしまうのでしょうか。
対面横一列の座席だから
自己視線恐怖症や視線恐怖症を持っている僕にとって、電車内での視線が気になってしまうのは「対面横一列の座席」だからという理由があります。
昭和生まれの僕は、今のような横一列の座席が主流になる前は、ボックス席のある普通電車に乗車した経験があります。
ボックス席があることで、全て対面席ではないため、視線恐怖症もそこまで気になりません。
しかし、対面横一列の場合、人と視線が合いやすく、目の逃げ場が少ないですよね。対面になると視線をどこに合わせて良いのかわからないのも特徴の1つです。
正面を向くと、人と目が合いやすくなるし、かといってずっと景色を眺めるのも、なんだかおかしいのではないかと思ってしまいます。
電車への乗車は、対面だからこそ、視線が気になる構図となっているのです。
ちなみに僕は、電車に乗るとき、できるだけ入り口付近の座席に座るようにしています。手すりがあり、落ち着くし、入り口付近で出入りが多いため、密閉感が少ないからです。
パーソナルスペースが近すぎる
電車内で視線が気になる理由は、座席が横一列だからというだけではありません。パーソナルスペースが近すぎることも関係しています。
パーソナルスペース(Peasonal Space)とは、他者が自分に近づくことをどの程度まで許せるかという範囲のこと。
パーソナルスペースは、人によっても広い人、近い人それぞれです。
視線恐怖症の中でも脇見恐怖症がある人は、すぐ隣に人が座ると、スマホを操作しているのに、隣の人が気になりだして、スマホ操作に集中できないことがあります。
僕もさまざまな視線恐怖症を持っていますが、脇見恐怖症が今でも悩みの種でもあります。
脇見恐怖症とは
対人恐怖症の一種で、自分の視線が他人に不快感や誤解を与えるのではないかという思いから、他人を見てはいけないと考えるものの、どうしても見ずにはいられない・見てしまうという恐怖感があるような状態です。正式な病名ではありません。
引用元:他人を見ずにはいられない…“脇見恐怖症”の原因と克服法|livedoor"NEWS
電車の場合、すぐ隣に他人が座るというシチュエーションが多いです。つまりパーソナルスペースが近い状況が続くため、余計に隣の人に迷惑をかけないか気になるのです。
そして、隣の人を気にしている自分のことを、正面に座る人から変な目で見られないかと考えたりします。
頭の中はフル回転で、パニックを起こす場合もありますよね。
これは電車ではなくても、バスや新幹線、飛行機だって症状の強弱は違えど同じです。
スペースに限りのある閉鎖的な空間だから
電車に乗ったときに、目のやり場に困るという方が多いです。当然、僕もそのうちの1人で、座席に座ったのは良いけれど、緊張してしまい目のやり場に困ってしまいます。
目のやり場の困る理由は、不特定多数の他人が横一列に並び、電車という限られた空間に閉じ込められているからです。
もしこれが、大自然の中で横一列に並んで、空間のスペースが広い状態なら、おそらく電車に乗っているときほど、気にならないでしょう。
閉鎖的な空間だからこそ、目のやり場に困りますし、パニック発作を引き起こす方もいるのです。
電車内で視線が気になったときのおすすめの対処法5選!
この記事を書いている僕も、本格的に視線恐怖症を発症して14年が経過しています。日常生活に、ほとんど支障なく過ごせるものの、未だ悩み続けています。
幸い、僕の場合は電車に頻繁に乗らなくても良い環境にあるのですが、毎日電車に乗られている方は、すごくつらい毎日を送っているはずです。
そんな視線恐怖症を持つ人へ、僕が実践する電車内で視線が気になったときの対処法をご紹介します!
ポイントは、「過ごしやすい方法を見つけること」です。
マスクを工夫し寝たふりをする
この方法は、先日僕が電車に1時間も乗車しなければいけなかったとき実践した方法です。
寝たふりに関しては、なんとなく理解してもらえるかもしれませんが、なぜマスクを着用するのかですよね!
マスクを着用する理由はいくつかあって「安心感がある」、「顔の中心を認識できる」という理由があります。
それぞれ解説します!
マスクを着用し安心感がある理由は、口や鼻が隠れるからという理由が大きいです。
僕の場合、マスクなしで寝たふりをすると意識が口にいってしまうのです。意識が口にいってしまうと、口に違和感を感じて、どことなく本来の自分でいられません。
ところが、マスクを着用すると口や鼻が隠れて、かけていないときよりもリラックスできます。
マスクをかけるだけで、寝たふりから本当に寝てしまったこともあるくらいです。
次に、マスクをかけると、鼻にかける部分にマスクのワイヤーが入っているかと思います。
このワイヤーが時折、ずれてしまうことってありますよね。そのずれを直す仕草をすることで、顔の中心が認識できます。(マニアックですよね笑)
メガネのずれを直す仕草と似ているのですが、マスクのワイヤー部分が鼻からずれたときに、僕はよく手でマスクのずれを直す仕草をしながら、顔の中心を確かめています。
なぜこんなことをするかというと、マスクのずれを直す仕草をすることで、視線が気になっても顔の中心を認識し、気になる視線をリセットできる僕なりのルーティンなんです。
僕は、マスクをかけることによって、リラックスした状態で寝たふりができますし、心に余裕があるときでもマスクを着用することで、気になる視線をリセットする方法を身につけました。
電車内は、ただでさえストレスがかかる環境下なので、できるだけ自分がリラックスできる方法やルーティンを見つけてみてください。そうすることによって、電車内でも穏やかな心をキープできます。
スマホは自分の正面胸の前で操作する
電車内で視線が気になるときは大きく分けて2つあります。
1つは、「他人の視線が気になるとき」、もう1つは「自分の視線そのものが気になるとき」です。
さきほどのマスクを着用する方法は、その両方に対応できる方法ですが、ここで紹介するスマホ操作の仕方は、自分の視線が気になったときに僕がよく使う方法です。
僕の場合、本当に自己視線がつらいときは、マスクを着用して寝たふりをしますが、少しだけ余裕があるときは、電車内でスマホをしていることが多いです。
電車内でスマホをするときは、自分の体の正面でスマホを持ちます。片手でも両手でも構いません。
そしてスマホを正面でかまえたら、スマホの持つ高さを胸の位置で構えます。
その理由は、まずスマホを正面にすることで、脇見が気になる視線をリセットできるのが1つ。そして、スマホを正面胸の前で構えることで、少し顎を引いた角度で顔が下を向きます。
この下を向く角度が、重要なんです。
以前、僕がスマホを正面胸の前で操作している様子を、奥さんに正面から見てもらったところ、僕の視線について気になるアドバイスをもらいました。
それは、スマホを正面胸の前で操作したとき、まぶたがほとんど閉じていて、正面から見ると、ほとんど目が開いていないように見えるというもの。
つまり、この角度でスマホを操作すれば自分の目線が周囲に迷惑をかけるのではないかと気にする必要が減ります。
もし電車内で目を開ける余裕があるときは、お試しください。実際に、自分が気になるシチュエーションを家族など信頼のできる方に見てもらうのもありです。
目を開けているときは景色や広告を見る
電車内で視線が気になったときの対処法として、窓からの景色を眺めたり、広告を見たりすると、視線が気になる確率が下がります。
電車内は横一列で多くの人が並ぶため、座席の方を眺めてしまうと人の目線と自分の目線の高さが一致するため、余計に目が合い気になります。
他人と目が合う確率も増えて「自分は変かな」と不安が頭をよぎります。
そこで、できるだけ人と目線を合わせないように、景色を眺めたり、電車内の路線図や広告を眺めるようにしましょう。
そうすることで、人の視線を気にしなくても済みますし、人の目線の高さとは異なるため、目が合う確率も減り、電車内で目を開けられる時間も増します。
この方法は、電車内に乗客が少ないときに僕がよく使う方法です。
他人の話し声は俯瞰して聞く
電車内で視線が気になるときは、気になっている人の話し声も大きく聞こえたりしませんか?
それは頭の中で、その人が「私のことを言ってるのかな」と気になりだしている証拠です。これは視線恐怖症の人だけでなく、誰でもよくあること。
しかし、その話し声を真剣に聞こうとすると、余計に周囲が気になり、症状が出てしまう場合がありますよね。
そのようなときは、他人の話しを俯瞰して聞くことが重要です。
俯瞰(ふかん)とは、瞑想やマインドフルネスなどでよく活用される方法で、広い視野で物事を見るということ。
どういうことかというと、気になる話し声に集中するのではなく「電車内でいろんな話し声が聞こえるな」「高校生がにぎやかだな」くらいに、客観的に一歩引いた場所から自分を取り巻く環境を見つめます。
そうすることによって、気になる話し声が、実際には気にならなくなるのです。
俯瞰して自分や周囲を見つめる方法は、最初のうちは難しいかもしれません。そのときは、目を閉じて自宅などで練習してみると良いですよ。
気になる音があっても、そこに集中するのではなく、電車内で繰り広げられている一部としてとらえます。すると、感情が穏やかになり視線恐怖の症状も少しずつ気にならなくなります。
僕は、感情コントロールのためにマインドフルネスや瞑想を行っています。マインドフルネスや瞑想は、視線恐怖症を持つ人にもおすすめですよ。
マインドフルネスを学ぶならこちらの本がおすすめ!
電車に対して認知の歪みを修正する
視線恐怖症の人から見ると「自分はまともに電車にも乗れない」と感じているかもしれません。しかし、「電車に乗れない自分はダメ」ではないのです。
考えてみてください。
人付き合いが得意な人もいれば、苦手な人もいる。
集団の輪に入るのが得意な人もいれば、そうでない人もいるように、電車に乗ることに苦痛を感じない人もいれば、苦痛に感じる人がいたって良いのですよ!
電車に苦手意識があったってなんら問題はないですし、その苦手意識を無理に取り払わなくても良いのです。
僕は最近堂々と「電車が苦手」と宣言しています。
できる限り、電車には乗らないようにしていますし、乗るときは万全の対策で乗車します。
無理に電車に乗るということは、苦手なピーマンを生のまま食べるようなものです。できれば、細かく刻んでチャーハンや炒め物にしなければ、食べることができません。
電車もピーマンと同様で、無理に乗る必要はないし、それでも乗らなくてはいけないときは、ピーマンのように自分が食べやすく工夫する必要があります。
困ったときは専門家に相談しよう
ご紹介した電車内で視線が気になったときの対処法は、あくまで僕が実践している方法です。「自分は視線恐怖かもしれない」と思ったら、迷わず専門家に相談しましょう。
今でこそ、僕は日常生活でほとんど支障なく過ごせるようになりましたが、以前は精神科医や臨床心理士の方に大変お世話になりました。
ぜひ専門機関も活用した上で、症状と向き合ってみてください。専門家の目線から、治療法に関して、さまざまなアドバイスを頂けるはずです。
精神保健福祉センターは、全国にあります。精神的な悩みや病気、対人関係や性格上での悩み、ひきこもり、摂食障害、アルコール・薬物・ギャンブル依存症などを相談できます。電話相談だけでなく、来所相談も予約制で対応していますので、気軽に問い合わせてみてください。
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サイトの趣旨は以下の通りです。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」(以下「サイト」という。)は、平成30年度の厚生労働省委託事業として一般社団法人日本産業カウンセラー協会が受託して開設することになったものです。
このサイトの目的は、職場のメンタルヘルス対策(自殺予防対策を含む)及び過重労働対策について、事業者、労働者、家族等への的確な情報提供の基盤を整備することです。
「どこに相談すればよいのか」、「どのように取り組めばよいのか」、「どのような支援があるのか」などの様々な疑問に、既存の情報と新規に作成する情報を一元化して「探しやすい」、「見やすい」、「理解しやすい」情報として提供することを目的としています。そのため、情報の追加・更新することにより「育てる」サイトとなるよう努めています。
引用元:このサイトについて|こころの耳
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まとめ
視線恐怖症を持つ人にとって、電車に乗るときほど怖いものはありません。ただ、今までとは少しだけ視線を変えるだけでも、ぐっと症状が楽になります。ぜひ、今回ご紹介した視線が気になったときの対処法を参考にしてください。