自己視線恐怖症で苦しんでいる方は、年々増えていると感じています。
僕も自己視線恐怖症に10年悩まされました。今では日常に支障がない程度にまで回復しましたが、現在苦しんでいる人はすごくつらいと思います。
実は自己視線恐怖症の克服には、思考の「とらわれ」から脱出するという考え方が重要になります。とらわれという概念を理解すると、今より症状の見方が変化し、気持ちも楽になりますよ。
自己視線にとらわれる仕組みとは
自己視線恐怖症は、自分の視線がなんらかのきっかけで他人に迷惑をかけていないかという概念から引き起こります。
僕の場合の原因は、友達から悪口を言われたことで「また悪口を言われたりしないか」と強く意識するあまり、周囲を気になりだしたことが始まりでした。
周囲を常に気にするあまり、視野が拡大したような症状を覚えるようになりました。視野が拡大した、というと「どういうこと?」と感じる方も多いかもしれません。
例えるなら、シマウマのように外敵を常に注視するため、両サイドの視野が広がって見えるんです。
それまで僕は、人と話すときは、人の目を見て集中して話しをすることができました。
しかし、視野拡大症状に見舞われて以降、人の目を見て話しをしていても、後ろや横の風景や人物が気になり始めたんです。
そして
「もしかして僕の目線はおかしいのでは?」
と思うようになりました。
これが自己視線恐怖症の始まりです。
これをきっかけにして、人と話しているときに視線が変な方向へ向いていたら、どうしようと強く思うようになりました。
そうこれが「とらわれ」です。
とらわれが起きる仕組みは、一度体験した「悪い想像」から生まれます。
僕の場合なら「人と話しているときに変な目線になったら、どうしよう」と自分の中で、予期不安を煽るような思考回路を働かせることで起きました。
つまり、あなたの頭で考える「どうしよう」がとらわれにつながります。
一度起きた最悪の事態を想像するあまり、悪い方へ悪い方へ考えてしまうんですね。
とらわれから脱出するための方法3選
自己視線恐怖症を克服したい場合は、とらわれから脱出する必要があります。自分の印象に残る最悪の出来事は、何度もフラッシュバックして、また自己視線恐怖症を引き起こしてしまうんです。
僕自身も、この症状の連鎖によって何度も苦しい思いをしてきました。ここでは、僕が自己視線恐怖症を日常に支障がないレベルまで克服した方法を3つほどご紹介します。
自己視線恐怖は起きるものだと考えよう!
自己視線恐怖症が起きる仕組みとして、とらわれの中にいることで「どうしよう、どうしよう」と余計に焦りが生まれて、緊張感が増して、肩もガチガチになり、自分の目線をどうしたら良いのかわからないという事態になってしまいます。
「とらわれを意識しないように」なんて指導する方も多いですが、「意識しないように」することは意識して下さいと言っているようなものです。
僕の経験上、とらわれが起きるときは、直前まで意識していなくても、起きるときは起きます。これは自己視線恐怖症を持つ方なら、仕方がないことでもあるんです。
そこで重要になるのが逆転の発想です。
「自己視線恐怖症は起きるもの」
と、自己視線恐怖症は当然のことのように起きるものだと、受け入れて下さい。この受け入れることがすごく重要です。
重要なことなので、もう一度。
自己視線恐怖症は起きるものと受け入れてください。
最初から起きるものだと認識していれば、万が一起きたとしても
「やっぱり起きたか」
と受け入れることができるんです。
そして、もう1つポイントがあります。
それは、実際に自己視線恐怖症が起きたときに「やっぱり起きたか」と感じたら、そのほかに「どうしよう、どうしよう」と考えずに、「ずっとあなた自身の状態を観察してください」
例えば、こんな感じです。
「おっ、今私は電車で隣に座る人のことを意識しているな」「私は正面に座る人のことが気になりだしているぞ」
とできる範囲で構いませんから、まるで実況中継のように心で唱えてください。
こうすることによって、あなたはあなた自身の状態を客観的に見れるようになります。
これがすごく重要です。
客観的に症状を見つめることで、あなたは症状の渦の中に囚われないで済みますし、余計に悪い想像をすることも無くなります。
自己視線恐怖症は起きるものだと受け入れ、症状の解説をするという2つの要素だけで、今までの何倍も気持ちが楽になりますよ!
これは絶対試してみてください!
ちなみに、自分自身を客観的に見れるようになる方法として、「マインドフルネス瞑想」や「認知行動療法」「腹式呼吸」もすごく有効な方法です。
興味のある方は、過去記事でも解説していますので、チェックして下さい。
困ったときに見る場所を決めておく
心療内科や精神科では教えてくれない、自己視線恐怖症克服のための「とらわれ」から脱出する方法2つ目。
「困ったときに見る場所を決めておく」です。
これはどういうことかと言うと、実例を交えてご紹介します。
先日運営者の僕は、風邪を引いて病院を受診したんですがそのときのお話しです。
病院を受診後に処方箋をもらい、薬局に行ったんですね。
この薬局が、非常に狭くて待合室が畳3畳〜4畳分くらいしかないんです。
僕がもっとも苦手としているパターンで、大人数が一度に狭いエリアに閉じ込められる電車や待合室などは、広場恐怖症も持っているので、症状も起きやすいんです。
とはいえ今の僕は、なんでも突入するタイプなので、待合室内で待っていたんですが、やはり隣の人や斜め前の人との感覚が近く、自己視線がもろに気になるわけです。
徐々に集中力も欠けてきているなと実感したので、まず腹式呼吸を開始して、リラックス効果を高めることにしました。
少しは気分が落ち着いたものの、入れ替わりの患者さんにとまどってしまったんですね。
そこで、僕は薬局の中にある、自分の正面に置かれている「パンフレット」を眺めているフリをして、パンフレットに視線を集中したんです。
さらにパンフレットを意識しながら、再度腹式呼吸で、集中力を高めました。
そして、無事にこの状況を乗りきれたわけです。
このように、自分の視線のやり場に困ったときは、電車の中なら中吊り広告や、風景、掲示板など定点観察できる、ポイントを作ると良いですよ。
ポイントを作ることで、自分の視線に振り回されなくて済みます。
ポイントがないと、不安感が増して、予期不安も増大することもあるので、自分の視線が疲れない程度に「ここだ」という場所にポイントを決めてみて下さい。
視線を外すルーティンを作る
自己視線恐怖症克服のために、「とらわれ」 から脱出する3つ目の方法は、「視線を外すルーティンを作る」です。
前章で定点観察できるポイントを作ると言いましたが、そうは言っても定点観察地点をずっと眺めていたら、やはり疲れますし、場合によっては変ですよね。
そこで、重要になるのが視線を外すということです。
視線を外すとは、前章での薬局の場合でお話しすると、パンフレットを安心ポイントとして眺めていましたが、ずっと見ていると疲れるので、腕時計の時間を気にする素ぶりで見たり、スマホを眺めたりします。
そして、またその仕草に疲れたら、パンフレットを見たりと、大体困ったときは、お気に入りのアイテムで視線を外すというルーティンを作っています。
こうすることで、万が一どこに視線をやって良いのかわからない恐怖が来ても、いつものルーティンを行えば安心できると体に叩き込めますし、気持ちの安定にもつながります。
このように、自己視線恐怖症との付き合いが10年以上にもなると、うまく共生する方法が身につくんです(笑)
本当にこれは、笑い事ではなくて、おすすめですから実践してみてください!
大体いつも自己視線に困ったときは「時計」「スマホ」を見ます。
また、それ以外のテクニックとしては、歩いているときに人とすれ違うのが気まずいときは、下を向き靴のつま先を眺めて視線を外したり、駅の雑踏を歩くときなら、あえて人の顔を見ないで自分の行きたい道だけを見ます。
特に駅の中は、すごい人混みですから人の顔を、気にしていたら気づかれで倒れてしまいますよね。自分が歩く方向だけを見ていれば、歩く人の方から自分を避けてくれますし、ほぼぶつかるということはありません。
電車の中であれば、基本的に座るのが苦手なので、音楽を聞いてずっと立っていたりという対処法も繰り出します。
自己視線恐怖がやってきたら、自分なりのルーティンを考えておくと、視線を気にする確率がぐっと下がり、思いのほかラクに過ごせますよ。
まとめ
自己視線恐怖症を克服するまでには、もしかすると僕のように長い時間がかかるかもしれません。でもそこは焦らずに「なにがなんでも克服する」と考えるのではなく、「共生する道を考えよう」という見方をすると、実はうまくやれる方法が見つかったりもします。
今回の記事が、自己視線恐怖症で困っている方の参考になれば幸いです。
また、自己視線恐怖症と言っても人によって症状は異なります。ぜひ、みなさん自身が「こうやるとラクになるよ」という情報がありましたら、教えて頂けると嬉しいです。